エゾシカ

エゾシカは、北海道のみに生息するニホンシカの亜種を指します。ニホンシカより体格がかなり大型で、その理由は「ベルクマン・アレンの法則」(北に行くほど体格が大きくなる)であると分析する専門家もおります。大きい分歩留まりが良く、1頭あたりからの可食部採取が多い為、日本鹿に比べ捕獲、処理、製品の物流、商流についてかなり効率が良く、近年で爆発的に需要が拡大しております。その分、不衛生な物や、食品衛生法に抵触する肉も市中に流通しており、取り扱いには安心できる仕入先から購入することが重要と言えます。

 

 

 

 

エゾシカの歴史

 

エゾシカ料理を探求すると、その歴史は北海道がまだ蝦夷地と言われた時代の「アイヌ民族」まで遡ります。アイヌの人たちは、エゾシカ肉を料理したり、加工したりと貴重なタンパク源として利用してきました。しかし、明治になると、本州からの移民がエゾシカを乱獲、大雪と重なり生息数が激減し、この頃から長い保護活動に入ることになります。狩猟は続けられて来ましたが、生息数を増やすことを目的とした保護と、天敵であったオオカミの絶滅により、近年は爆発的に生息数が増えることになります。 

 

 

エゾシカ肉がおいしい理由

北海道シュヴルイユでは、食用には「銃」による捕獲で現場での止め刺しを行った個体以外は受け入れ(食品用受け入れ)を行っておりません。食肉が最も高いクオリティーを保つ為には、どの様に「死亡」したかと言う事が重要です。罠のように、いつ罠にかかり、いつ死亡したか不明な場合、かなり肉質が劣化していることが多く、大きく味に影響します。当施設では、銃撃から施設持ち込みまで2時間以内と義務付け、仮に逸脱した場合は、食用にて受け入れしない厳格な体制を取っています。

 

 

 

 

北海道エゾシカ肉認証制度 認証処理場

 

北海道エゾシカ肉認証制度とは、北海道が定める衛生基準を満たした施設を認証する制度で、高度な衛生管理と、品質管理を満たしている施設のみ審査後認証されます。北海道が発行する処理マニュアルに沿った処理方法や、個体を一頭単位で管理、トレースするシステムを構築していることが必須要件になり、北海道シュヴルイユ浦臼工場では、全て基準を満たしており、安心して御使用いただけるエゾシカを製造しています。 

 

 

 

安心と安全

野生獣畜につきまとうのは、安心と安全の担保です。北海道シュヴルイユでは、北海道が認定する処理施設「エゾシカ処理認証処理施設」の取得を目指し(2020年8月審査申請)北海道が発布する「エゾシカ処理マニュアル」を厳格に守って処理しております。2020年5月に北海道HACCP・A評価を受け衛生面でも高い管理を行っております。

枝肉の洗浄には、「次亜塩素酸水(食品添加物指定)」を使用し、より殺菌力のある洗浄を行い、検針には、業界初となる「X線異物検出機」を導入、常に銃弾の破片(金属片)のリスクがあるエゾシカ肉も、現在は0.5mmまでの小さな破片まで検出が可能となり(過去は金属探知機で2.5mmが限界)、より安心できる検針が可能となりました。

 

 

 

 

シュリング処理によるチルド出荷

当処理場では、シュリング真空パックを採用しており、チルドの状態で30日(5℃以下の保管時)の品質保持を実現しております。80℃の表面殺菌と、瞬時に4℃までの冷却で最小限までパック内雑菌を軽減して鮮度を保ちます。また、シュリング処理は、包装資材が内容物と同じ形に変形して収縮し、冷却することでその形状を保ちます。一般的なバキューム式真空処理では、つねに外気圧の影響を受け、肉に一定の圧力をかけてしまいドリップの原因となっていますが、シュリング処理では、包装資材がある程度の硬度を保つため、外気圧の影響をほぼ受けません。その為ドリップの量が大幅に軽減されます。

 

 

 

 

リキッド急速冷凍

リキッド急速冷凍とは、-30℃以下の「アルコール」に肉を漬けることで急速に凍結をすることです。では、なぜアルコールに漬けると急速に冷凍できるのでしょうか、例えば、5℃の空気に手を晒すことは出来ますが、5℃の水に手を漬けることはかなり辛いものがあります。その理由は熱伝導によるものです。つまり液体は空気より熱を伝えやすいと言うことです。ただ冷凍する為には「凍らない液体」が必要になります。それがアルコールです。冷凍の品質劣化はドリップですので、ドリップを減らす=冷凍劣化が減ると言うことになります。それを説明するには、ドリップが出る仕組みから説明する必要があります。凍結による肉のドリップの発生原因は、細胞膜の破壊によるものです。細胞膜は、細胞内の水分が凍結により膨張し破壊されます。その膨張は-5℃あたりで発生する為、-5℃をいかに早く通過するかが細胞膜の破壊を防ぐ鍵です。リキッド急速凍結は、その-5℃を一瞬で通過して凍結する為、細胞膜の破壊を防ぎ、解凍時にドリップが発生しにくいのです。リキッド急速凍結の肉がチルドを超えることはありませんが、極めてチルドに近い冷凍商品と言えます。

 

ジビエdeそらち

ジビエdeそらち とは、農水省による「ジビエ利用拡大」を目的としたモデル地区の「北海道地区」のコンソーシアム名です。当処理場がある浦臼町は、このジビエ特区(モデル地区)に選定され、浦臼町ジビエ処理加工センターを設置しました。株式会社アイマトンは、「北海道シュヴルイユ浦臼工場」として、この施設の管理、運営を行っております。ジビエdeそらちは、空知近郊で捕獲され、当処理場に持ち込まれた個体のみを「ジビエdeそらち 厳選エゾシカ肉」としており、ロゴマークの添付して出荷しております。

 

 

 

ジビエ利用拡大専門家チームに、アイマトンも参加しています。